Old Lens 0057 > Schneider-Kreuznach Componar 1:4,5/75 [9783566] Enlarging Lens


 前回に引き続き外国製の引き伸ばしレンズで、ドイツの老舗レンズメーカー< シュナイダークロイツナッハ >のコンポナー75 mm です。

先回ご紹介のチェコ製レンズはコストなどに制約がありながらも素晴らしい描写で印象に強く残りました。 今回のレンズも 普及品価格帯のレンズですが質感などに手抜きは見当たらず、絞り羽根も15枚ととても普及品とは思えず、流石のドイツ製と思わせます。

コンポナー75mmで検索をしますと多くの画像がヒットしますが、現在流通しているレンズは4枚絞りの普及品と思われ、コストカットされた全くの別物の様で、今回のレンズに期待が広がります。


シュナイダーのレンズということで思い出すのは、大判レンズとしての知名度と信頼性、 大判レンズは使ったことがないのですが、シュナイダーの響きに憧れて、いつかはリンホフのスーパーテヒニカ45にシュナイダーのスーパーアンギュロンを付けてなんて・・・今は昔の話ですが・・・懐かしいです。

もう一つの シュナイダーの思い出は、レチナ3 C に付いていたクセノン50 mm F2です。正確に言うと、レンズの印象が有りません。

何故かと言うと、その時は フィルム現像について悩んでいた時期で、レンズによって写真が変わるというよりも、現像によって印象が変わってしまう事にジレンマを感じ、その後カメラから離れて行く時期に使用していたレンズだったのです。

 その昔パソコンも無く、当然現像ソフトなどの便利なものは無く、プリントは自前か他人任せの写真屋さんに出すしかなく、そこで悩むと行き詰まりです・・・本当に良い時代になりました。

大変評判の良いレンズでしたので、今も時折どんなレンズだったのか気になります。

前置きが長くなりましたが、レンズに集中して使うのは今回が初めて、印象は如何に・・・


鮮烈と言う訳では有りませんが、色乗り・立体感・空気感共に申し分ない印象で、その物がそこに有るといった感じがします。とても正確です。

次は開放F4.5の近接撮影でボケ味をどうぞ。





車の2枚を見た時F4.5のボケは控えめかと思いましたが、こちらの4枚のボケ方如何ですか?

綺麗にボケていると思いませんか?

1枚目のボケ方凄くないですか?

バックの背景全て溶けています・・・そこからニョキニョキ生まれてます。

3枚目も同傾向で過剰補正気味の現代レンズとは一線を画す幻想的なボケです。

2枚目は少し鋭い光源(ステンレスの鎖)が印象的ですが鋭くなる過ぎず、主題と乖離しないボケ方素敵です。

最後のボケ方少しシュールで花びらの先端が流れているような・・・絵画的で少し怖いです。

F4.5ですが75mmの近距離撮影は十分なボケを楽しむことが出来ます。




こちらの3枚はF8での撮影ですが如何でしょう?

一言で言ってしまえばナチュラル・普通に綺麗です。ビックリするほどの解像感と言う程でもなく鮮烈な色彩と言う訳でもなく、かといって色彩感に乏しい訳でもボケて不鮮明な訳でもなく、視力1.0程度の人間が見たままの世界が切り取られている感じがします。

沢山の写真を撮っていると、いかにもドラマティックな表現に突き進むか、平凡な中での空気感がとても新鮮に感じたりしてくる気がしてきますが。私は後者の見たままの景色が結構好きです。

皆さんは如何がでしょうか?

最後は絞りを変えた2枚の写真で終わりです。

先回の<Meopta Belar 4,5/55>とは少し違う印象でした。

レンズを変えても同じ印象では面白みが有りませんので、今回も感謝です。


レンズの詳細は不明ですがトリプレットだと思います
トリプレットはピュアです。

今回も特殊なスクリューマウント(M27)為、自作アダプター経由で使用になります。
製作と言う程の工作はしていませんが、ライカL39/M39ボディーキャップに27mmの穴を開けただけです。
只、僅かでもガタ(隙間)が出来ると光線もれが発生するため慎重にドリルで広げていき、はめ込むときにカチット音がする位の少しきつめの大きさにすることに気を付けました。