Old Lens 0062 > RICOH XR RIKENON 1:2 50mm L [127265]  「和製ズミクロン」は「貧者ズミクロン」なのか?

 





「和製ズミクロン」と呼ばれています
これは誉め言葉として命名されたと思いますが、ある書籍のレンズ性能テストで解像度数値が大変良い結果になり、ライカ・ズミクロンに匹敵 !との記事が広まり「和製ズミクロン」として一躍有名になりました。
その後は、ズミクロンを買えない人のプアな響きとしても浸透していきました。

単品販売も設定されていた、廉価版一眼レフのセットレンズ。
発売当初から、他社製品に比べ低価格設定で、戦略的なのか、只の安物だったのか、私は知りませんが、兎に角発売当初からリーズナブルなレンズの代表でした。
安物レンズが故、インパクトが大きかったのか、ライカのご威光が絶大なのか、話題性は大変なもので、何十年も経過後の今も「和製ズミクロン」の名とセットで語られるレンズです。

ライカと言えばカメラブランドの頂点であり、憧れ・・・その頂点ブランドの代表レンズ「ズミクロン」ライカファンの方からすれば、和製が付こうが、同列扱いは許されるはずもなし・・・「和製ズミクロン」とセットで「貧者ズミクロン」「プアマンズ・ズミクロン」の別名も同時に語り継がれています。恐るべしライカ ! ! !
加えて、各社へのOEM供給が中心でありながら、名レンズを数多く作った、稀有でミステリアスなレンズメーカー「富岡光学」が製造となると、実際に試して確かめるしか有りません。
では、ご覧あれ



初めの写真、構図が平坦で解像度テストに最適かと思いましたが、良く解像されていて「和製ズミクロン」との命名がうなづけます。

2枚目を見る限り、目を見張る程の解像感は感じません、・・・曇天の為、コントラストが弱く、全体に淡いカラーバランスに感じます。

3枚目は、ラティチュードの観点からすると大変厳しい条件かと思います。諧調表現に優れると言われるライカ、ズミクロンではどんな写真になるのでしょう、・・・「和製ズミクロン」には、少々厳しかったかもしれません。

3枚の表現する淡い空間は、嫌いでは有りません、、・・・・ライカとは少し違う気がしますが。



主題が中間距離で平坦なシチュエーションでは、十分な解像度が有り素直な描写だと思います・・・ここでも色合いは淡白です。



遠近感の有るシチュエーションを撮ってみました。
ボケ味が絡んできます・・・

この神社のように中心に向かい徐々にボケていく場合、解像度重視のレンズに多く見られる2線ボケを伴いざわついた印象でジオラマの様です。

2枚目、猫の両脇の木々が同じ距離感、中心部は中抜けの遠景も、奥行き感は問題ないようです。



枯葉が浮いているように、良い感じにボケています。主題の前後に特別目立つものが無い時は素直なボケです。

雨のしずくや軌跡、近距離の百日紅、遠方の木々共に大きな崩れなく奥行き感の有るボケ方です。



絞りが違うだけですが雰囲気が違いますね。
F8とF2どちらが好きなのか迷います。

花を中心にした奥行き感と、花を含めた優しい広がり、写真としてどちらが素敵なのでしょう ?

どちらもお気に入りです。

最後に、カラーバランスは全体に淡い感じで「和製ズミクロン」の元レンズである、ズミクロンに比べ少し傾向が違い、解像感からの命名かと感じました。
決して「貧者ズミクロン」では有りません。
いかがでしたか ?

  • 被写界深度サンプル

ƒ/2 1/30sec iso200


ƒ/2 1/25sec iso1600

  • 今回使用機材
SONY NEX-3 ミラーレス一眼 + PK-NEXマウントアダプター + RICOH XR RIKENON 50mm F2 L

マウントアダプターはオークションで入手した無名の新品でしたが、マウント側・レンズ側共にスムースでガタツキ無く、問題なく使用出来る製品でした。



  • 仕様表
焦点距離 50mm [SONY NEX3装着時75mmレンズの画角に相当]
最大口径比 1:2
レンズ構成 5群6枚
画角 46°79′(35mm判フルサイズ一眼レフカメラ)32°08′(APS-C一眼レフカメラ)
撮影距離目盛 ∞~0.6m
最短撮影距離 0.6m
絞り羽根枚数 6枚
最大絞り f/2
最小絞り f/22
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ) 52mm
マウント PK
寸法 約63mm(最大径)全長約45mm
質量 約170g
発売日:1980年-月 -日