Old Lens 0039 > Petri C.C Auto 1:2 f=55mm 「ペトリ?変な名前・・・結構な暴れ方する様ですが・・・」



Petri C.C Auto 1:2   f=55mm  [208729]
初めて目にした時「ペトリ」変な名前だと思いました。
何だかチープで高級感が無く「名」に愛着が湧かない・・・そんな印象しか残らないまま時は過ぎ。今回初めて使う機会がやって来ました。

製造は日本のカメラ製造に於いて2番目位、1907年(明治40年)創業、小西商店「小西六/コニカ」に次ぐ老舗だった「栗林製作所」で、1959年10月にはペトリペンタで一眼レフカメラにも参入、一眼レフの代名詞になったニコンの「ニコンF」と同年の参入でしたが、ニコンとは対照的に「ペトリの名」に感じた通りの低価格路線が、当時の「カメラは道楽品」と言う時代にマッチせず、「安かろう悪かろう」のチープなメージが定着、独創的で斬新な「ペトリV6」なども世に送り出していましたが、定説は覆る事なく1977年に倒産に追い込まれました。

ペトリの名前の由来は創業者がキリスト教徒で、初めから海外進出を念頭に新約聖書の「聖ペテロ」からとの事ですが、「もし」ネーミングセンスが違っていたら・・・価格戦略の発想も変わりカメラメーカーとして今も存続していたかもしれないと・・・思ってしまいます(現在も存続会社は双眼鏡のOEM製品を製造している様です)

今となっては「夢を感じるカメラメーカー」が消えてしまった事実と思い出で少し残念・・・今回のレンズで夢が蘇るのか楽しみです。




作りもデザインも大きさも重さも良い感じで、決して安物では有りません。
現代レンズの作りとプラスチッキーな質感とは比べようも無く「道楽品」の趣が有ります。

現代の技術革新に拠り、コスト一点張りのレンズに馴れてしまった方は、一度手に持って下さい・・・心地よいですよ。


一眼レフレンズの黎明期からのイメージを覆す事も無く、オールドレンズの世界に於いても、ペトリレンズのポジションは決して高く無くジャンク箱の常連です。
では、昔と今の評価は同じかと言うと少し違います。
オールドレンズとしての評価は随分上がったと思います。
独特なペトリの世界が愛され定着して、ファンの方も多く居られます。
オールドレンズファンにとって。幸か不幸か何故「ジャンク箱の常連」に甘んじているのか?

ペトリの社風なのか創業時から少し独特で尖がって先走りの傾向が・・・災いした様です。
一般的なスクリューマウント(M42)で発売、その後1年ほどで独自マウント(スピゴットマウント)に変更、倒産2年ほど前に再びスクリューマウント(M42)に変更しましたが、時はすでに電子接点付きマウントの時代、敢えて電子化の難しいスクリュー?と言う疑問拠り、新たに開発する体力が残って無かったと言う事実、悲しい運命に終わりました。

独自マウント(スピゴットマウント)は、現在のオールドレンズ市場に於いても、余りに特殊なマウントで使用不可のレッテルが付いてしまいました。

マウントアダプターを提供している会社も絶対数が少なく、歩留まりが悪く手が出せないマウントの評価が下り、同マウントのペトリはオールドレンズの世界からも「忘れられたレンズ」となり「ジャンク箱の星」となりました。

では本題の今回の使用環境です。
フランジバック等、難しい事は判りませんし、気にしません!!!!
オールドレンズは楽しめればOK、写れば最高!結果良ければ病みつきです。

SoNY NEX5N+Eマウントエクステンションチューブ+Petri C.C Auto 1:2  f=50mm

この組み合わせの撮影範囲「距離環表示(0.6m-∞)」
  • 7mmチューブ  (1.07m-∞大幅オーバーインフ)
  • 14mmチューブ  (0.43m-1.11m)
  • 7mm+14mmチューブ  (0.3m-0.4m)
  • 7mm+14mm+28mm(チューブ最長)  (0.220m-0.225m)
通常撮影は7mm、少し寄りたい時は14mm、すこしマクロなダブル仕様・・・
少々面倒ですが(0.22m-∞大幅オーバーインフ)のスーパーペトリになります。
0.6mと少し寄れないレンズとは違う世界を楽しめます。

では「7mmチューブ f2.0開放」をご覧下さい。













f2.0開放、思いの外ボケが穏やかで少ない印象でした。
このレンズ開放での乱れ方が半端ではないとの評判があちらこちらでささやかれています。意外や意外、期待外れと感じる方も多いかも知れませんが、私には好印象でした。

何と言っても中心解像度(周辺解像度も十分・・・これは大事)が大変優れていて気持ちが良い事です。
多くのレンズが、コストの影響や技術力の理由で、中心解像度の見上げて収差を無視し、お茶を濁した様なレンズが多い中、ボケ味で見せる所は見せながら解像度を保っている所が奇跡の様なレンズです。

中遠景では思いの外ボケません、近中景ではフォルムを保ちながら玉ボケが出始め、近景でバブルボケが動き出します。
APS-Cの限界かフルサイズでは周辺に向かい存分に暴れてくれるのかもしれませんが、この環境での写りはベストに近いと感じました。

設計上段階で解像度を上げ過ぎ、逆にフレアに拠る解像度低下に陥るレンズも多い中、中心解像度に重点を置きながらも、偶然?か周辺も大きな低下も感じさせず、高解像度≒固いボケが多い中、2線ボケも抑えられ「奇跡の偶然」・・・そんなレンズに感じました。

f2.0で十分!・・・欲張り過ぎはダメ・・・見習いましょう!

作例が多くなり心苦しいのですが、 f8.0 是非見て下さい・・・・お勧めです。











先回紹介のニコンが総力を挙げ、50mmより画角の狭い55mm/58mmが標準レンズの時代に、50mm標準レンズの扉を開け「標準レンズ」の代名詞にもなった「Nikon NIKKOR-S Auto f1.4 50mm」と同時代、従来の焦点距離が長く暗いレンズの王道「ニコンの半額で同等の性能を謳い、安かろう悪かろうのレッテルを張られたレンズ」

開発に随分の苦労が有ったと「ニコンの千夜一夜物語」に記載されていましたが、本当に焦点距離を短くして明るくした成果と結果が写真に反映されたのでしょうか?

私の印象は「Nikon NIKKOR-S Auto f1.4 50mm」の欠点が全て解消された「スーパー標準レンズ」に思えてしまいます。

5mmの画角の差はメリットでもデメリットでも無く、使い方の工夫で有る程度何とかなりますが、画質の不満はどうにもなりません・・・使ってみなければ判らない。

是非手元に置いて見て下さい!!!

次回は「14mmチューブ」のスーパーペトリの紹介です。



小型ミラーレス SoNY NEX5Nに装着した時のバランスも、オールドレンズとしてはコンパクトな設計の為、頭デッカチに成らず質感の統一も含めGOODです。