Old Lens 0038 > Nikon NIKKOR-S Auto f1.4 50mm [345438] 「憧れだったレンズ・・・欲しかったレンズ・・・F1.4」
「Nikon NIKKOR-S Auto f1.4 50mm」日本のカメラレンズの標準原器の様な感じです。
このレンズの以前にも、より明るいレンズは有り、誰もがが憧れるレンズも有り「明るく大口径なレンズは高性能」の神話がすでに定着していました。誰がそんな神話を作り上げたのでしょう?カメラメーカーとカメラ雑誌が結託して「おのぼりさん」の心を見透かし木に登らせた・・・そんな所では無いでしょうか?
真剣に写真と向き合っている人には判りますから「無理の有るレンズで常用には向かない」代物だと・・・当然の事ですがメーカーも判っていて1960年に発売された「未完成レンズ」Nikkor-S Auto 5.8cm F1.4などでは満足のいく性能は得られず、本当の意味での「明るく高性能」なレンズを目指し、なおかつ他社が無しえなかった50mmの焦点距離にこだわり、世に初めて送り出したレンズだったのかと思います。
アンバー系のモノコート・・・渋くて如何にも、如何にも・・・
所で、この頃のニコンのレンズ・デザインは素敵だったのでしょうか?
後にデザインが変更されスタイルが一新される以前レンズは、物凄く古くてレトロな感じがダメでした。
当然の事、新しく発売されたカメラと統一感が無くアンバランスで野暮ったく、最初の出会いから15年・・・そして今回の巡り合わせ迄、私の手元に来る事は有りませんでした・・・まだまだニコンに選ばれる程の、人格形成が足りてなかったと言う事だったのかもしれません。
色収差とイメージセンサーの影響かフリンジが顕著ですが、雰囲気には引き込まれそうです。
モノコートレンズの発色としては随分濃い目で、現代レンズに負けない?インパクトが有ると思いますが、D70の原色CCDの仕事の様な気もします。随分古いデジタル一眼レフ創成期の普及機ですが、このサイズの作例程度では600万画素の弱点は感じません。
逆に現代のCMOSセンサーに無い、当時主流の原色CCDの特性と完成度が思いのほか良い仕事をしています。
D70で撮影した訳は1/8000secが必要だった為で1/4000secでは露出オーバーと球面収差のフレアーで、芯が無くハイキーでダメでした。
見た通り露出オーバーで白トビしていますが、問題はそこでは有りません・・・1枚目のクレーン・2枚目の自転車を見て下さい・・・収差です。
今回このレンズでの最大の注目点が、球面収差を代表に各種収差がどの程度作画に影響するのかです。
結論を言ってしまうと、ニコンが自信をもって世に問うたレンズは、今回も未完成品だったと言うより、野外日中撮影でf1.4開放で常用するシチュエーションが想像できません。
ここまでフレアや滲み、フリンジが目立ち、4枚の作例全てに影響を及ぼす程の球面収差の残存するレンズを完成形とした、落としどころが理解できません。
このレンズのフォーカスをカメラ任せのAFで使用するならば問題無いかもしれませんが、開放測光マニュアルフォーカスでの滲みは致命的です。
4枚全てに影響が出てピントが全てズレています・・・滲みとフレアで正確に合わせられません。今回のD70は大型ライブビューが無く、小さなファインダーでのピント合わせは不可能でした。
皆さんは大型ライブビューの最新機種を使用されている方も多いかと思いますが、開放でのピント合わせが主流の為、滲みやフレアーの影響でピントの山が判りにくく、ピントリングの回転相応の精度が感じられず、液晶を見ていても目や脳神経が反応しない。
4枚全てに影響が出てピントが全てズレています・・・滲みとフレアで正確に合わせられません。今回のD70は大型ライブビューが無く、小さなファインダーでのピント合わせは不可能でした。
皆さんは大型ライブビューの最新機種を使用されている方も多いかと思いますが、開放でのピント合わせが主流の為、滲みやフレアーの影響でピントの山が判りにくく、ピントリングの回転相応の精度が感じられず、液晶を見ていても目や脳神経が反応しない。
ピントが合った瞬間の喜びと手応えが無い。これは私にとって残念ですが駄目レンズです。
このレンズのレビューで良く見る、思うように撮れない原因はこの辺りとハレ切に有る様に感じました。
とは言え、ハイキーが好みの方には面白いレンズかもしれません。
カメラをMFアシスト付きNEX-5Nに変更、D70より当然ピント合わせは楽になりましたが、日中での撮影では液晶でも確認できるフレアで甘い描写です。
ボケ味は補正不足なのか?・・・有る条件から外れると崩れます。
設計時の球面収差の落としどころが判らないと書きましたが、当時のファインダー性能を考えると、明るいファインダーの為のレンズで、精度より明るさが必要だったのではと、ラスト2枚のボケからも想像してしまいます。
絞ればきりりと締まった現代レンズ顔負けの写真が撮れますが、明るい常用レンズの完成形は、開放でのフレアとフリンジで失ったものも大きかった様です。
期待値が大きく評価を下げましたが、6枚の作例はそれなりに撮れていると思います。
ファインダーや液晶を覗いた時の手応えの無かった事が残念でした。
前半担当のカメラ、頑張ってくれました。