Old Lens 0041 > MINOLTA MC ROKKOR-PF 1:1.4 f=58mm [5671203] 「緑のロッコール・・・」


「0038 Nikon NIKKOR-S Auto f1.4 50mm」で紹介、62年発売の50mm標準レンズの一号機より4年ほど遅れて発売、各カメラメーカーが50mm標準レンズに舵を切り始める時期、50mmオーバー標準レンズの後期に登場した「緑のロッコール」・・・優れた効果をもたらした「アクロマチックコーティング」の反射に拠るグリーンが誇らしげに見えます。

ミノルタのレンズはジャンク箱の御三家?・・・旧メジャーカメラメーカーの中では筆頭に位置するほど不人気なようで不遇です。

特にAF時代のプラスチック銅鏡のレンズは目を覆う程で数百円でゴロゴロ・・・確かにラバーの変色した個体を見ると納得の部分も有りますが、優れた性能のレンズも多く、特に標準系のZOOMレンズは、下手な単焦点より数段優れていると思います。

AFレンズに比べ多少は真面な評価のMC/MD時代のレンズも、ニコンなどのレンズに比べると一桁違うほど安価で気の毒なほど・・・需要と供給で価格は決定されますが、何が理由なのか私にはサッパリ判りません。

性能が極端に悪い訳でも無く、寧ろ「アクロマチックコーティング」技術で発売当時、他社を引き離す程の性能を見せ、外見も他社レンズに比べ、特に劣った印象も無いどころか他社に比べ、前玉の口径が大きく、如何にも光を集めています感が・・・ワクワクするのですが、最後に供給過多の要因になる当時の販売量が、ニコン等他社に比べ10倍も売れたとは聞いていませんし・・・???です。

兎に角・・・私は幸運です!!!
諸々の事情はさておき、こんな素敵なレンズをこれほど安価に入手出来て・・・オールドレンズは楽しく・・・奥が深いです。







如何でしたか?
標準レンズ、近距離撮影の代表的なカット?
58mm f1.4ならでは?収差の影響でフレアが目立ちますが味と考えれば、ボケが大きく比較的なだらか・優しい感じが良い印象です。



もう少し寄ってみると、先ほどの優しい感じ依りも、シックな色合いで別な印象を与えます。ボケ方は被写体の主従の距離感で大きく印象が変わる気がしますが、基本は球面収差の影響が大きくフレアが目立ち、良くも悪くも滲みが支配的です。





常にフレアが伴うレンズ・・・当然ですが正面もサイドからも、光の侵入に滅法弱く、どんな角度からでもゴーストが発生します。まさにオールドレンズの王道?・・・雰囲気を如何に楽しむか?・・・醍醐味としておきます。





最後は、このレンズなりの普通の風景を撮って見ましたが、如何でしょう?
どのショットもフレア・滲みが何処かしこで仕事をしています。

中心にピント合わせた時、周囲がボケるよりは滲む感じで、ミニチュアのジオラマを撮影した時、あおり撮影又はフィルターを掛けた時の様に表情が変わり、とても楽しく・・・難しい。

このレンズ、現代の目線で見た時、大変性能が悪く、各種の収差が抑え切れないまま発売された未完成品の評価が妥当?・・・だけれど撮れた写真は面白い・・・オールドレンズの見本の様です。





焦点距離8mm長い標準レンズ、たったの8mm、されど8mm、実際に撮影すると大口径中望遠レンズを扱う感覚に近く、明らかに画角が狭く、「標準レンズ≒人間の視野≒肉眼に近い」と思いがちですが、随分望遠よりに感じます。

昔「人間の視野≒標準レンズ≒肉眼に近い」と思っていましたが、今でも多くの方々は漠然と50mm標準レンズを「肉眼に近いレンズ」と思っている様に感じますが「標準」の言葉紛らわしいですね。

ライカの採用した35mmフィルムフォーマットで使われていたレンズが約50mm
(実際は51.4mm)で、35mmフィルムの対角線が43mm、比較的近い事や、当時の事情の様ですが・・・「人間の視野」とは余り関係ない様です。
「人間の視野≒」は色々見解は有る様ですが40mm~35mm位でしょうか?・・・これはこれで、対象との距離感で「肉眼に近い」とは違和感?が有りますが・・・

何れにしても58mm(特にミノルタ)の被写界深度は浅くボケが大変シルキーで「とろける」感じはボケファンにお勧めレンズです。

ボケの「シルキー」「とろける」感じは球面収差が作り出していると思いますが、開放での野外撮影では正直フレアやゴーストとの戦いになります。

芯まで滲むほどのフレア感、ニコンの50mmが世に出るまでは、当時の技術レベルでミラーとの緩衝等の問題で50mm超を標準レンズとしていましたが「MINOLTA MC ROKKOR-PF 58mm F1.4」の発売時には「50mm超の標準レンズ」は熟成されていた様に感じ、このフレアは「謎」と思えるほど・・・実はミノルタのレンズ設計レベルは低かった?故に欠点を補うコーティング技術で補っていた・・・邪推ですが「謎」です。

お陰で、こんなに素敵な写真が撮れるのですから・・・オールドレンズは個性が有って当たり前ですね。

次回はフレア対策?・・・効果がのほどは乞うご期待・・・
限られた光の中で・・・秘めたる力の開放・・・・コンサートホールへ!!!