Old Lens 0027 > C.F. Foth & Co 120 Roll Film Camera(6 x 9) Germany 1927-34生まれのレンズ・・・90年前にタイムスリップ

CF Foth&Coは第一次・第二次の両世界大戦の最中の1926年、ドイツのベルリンにオランダのメカニックのCarl Friedrich Fothによって設立されたそうです。

1930年発売の127フィルム使用のFoth Derbyに拠り、有る程度の成功と知名度を得て、日本にも輸入され多数ファンの方が現在もおられるようです。

成功と知名度のアップに繋がったFoth Derbyは、当時から高額で「高値の花」で有ったライツやツアイスの代替えカメラとして、両社を意識したローコストメーカーの多数が自前のレンズやシャッターを持たず、間に合わせ的な商品を提供していたのに比べ、設立当初からレンズとシャッターを自社生産し、高度な技術に支えられライツやツアイス両社の1/5の価格で提供した事が支持された様です。

それ以前の4年間ほどはFoth Derbyの様に特定の名もない120ブロニーフィルム使用の一般的な蛇腹カメラの120 Foth Roll Film Camera(6x9cm)とそのものずばりのカメラを作っていました。

今回のレンズはその(6x9)に付属していたと思われる「foth Anastigmat 120mm F4.9」 (1927-34)と言うFothオリジナル設計のレンズです。この(6x9)に付属のレンズは他に105mm F2.5/F3.5が有り、此方がメインの様で120mm F4.9の記事は殆ど見かけません。カメラの全体像はこちらを参考にして頂ければ判り易いかと思います。立派なカメラです。

その他に珍しい二眼レフの発売も有り、当時二眼レフと言えばローライをはじめ殆どのメーカーがレンズシャッター機構を採用していましたが、大変珍しいフォーカルプレーンシャッター搭載のモデルで外観はローライとそれほ代わり無く、独自の路線で展開できる自社生産技術を誇っていたのだと思います。

惜しくも42年頃に終焉を迎えますが、十数年で消滅するには持ったいないメーカーで、終焉の理由にヒトラーの政策に賛同しなかった?などの噂が有るようです。

理由は兎も角90年を経て私が見る景色に大変興味深々です(長い年月さ迷ったと思います。目立つ傷は無く良い状態に見えますが、薄い曇りが発生しています。逆光などには多少過敏に反応するかと思います)・・・では、どうぞ!










Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/125sec iso200 -0.31EV
午後2時、晴天の光が建物越しに影を落しています。見事なまでのオールドレンズっぷりに感動です。もちろんこの時代のレンズにカラーコーティング等してある筈は有りません。全体の色かぶりが雰囲気を演出、曇りの影響か?多少のフレアも味方に付けた、このアンニュイな感じのカラーバランス最高では有りませんか!


Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/80sec iso200 -0.31EV
角度と距離の違いで色合いが随分違います。こんな「撮ってみなけりゃ判らない感」ワクワクします。実際の色はこちらの方が近いのですが、そんな事はどうでも良い気がしてきます。此方は此方、彼方はちら、ピントが甘かったり、フレアもオールドレンズの見本の様に出てますが、全てがノスタルジーに彼方に誘います。こんな写真良く有りませんか?


Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/125sec iso200 -0.31EV
午後4時過ぎ、光のスペクトルが変化したままに、写真も変化していきます。
曇りの影響か・収差の影響か?依然フレアは残りピントも甘いですが、コントラストは徐々に回復、条件次第でどこまでいけるか期待が膨らみます。


Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/125sec iso200 -0.31EV
気を良くして僅かに右へ、綺麗なで見事なフレア、流石に此れはリアルな現代レンズに真似は出来ません。現代レンズに対抗への期待も吹っ飛び、どうでも良い位の傑作ですこれは!・・・嘘ですが、味わいのある描写、オールドレンズは楽しい・・・年期の入り方が違いますね。


Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/125sec iso200 -0.31EV
綺麗では有りませんか?主役の薔薇に陽が当たり、ボケは素直で、背景の日陰と良いマッチングでは、薔薇は柔らかく繊細で包み込む様なピンクです。


Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/60sec iso200 -0.31EV
少しピントが甘くフレアも感じられますが、ボケも大きく乱れず、派手ではない発色が、少し幻想的な感じがします。
 
Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/80sec iso200 -0.31EV
透けて溶けてしまいそうな薔薇、淡い黄色とバック緑色、日陰では色もピントも収差?に拠るフレアが幻想的な効果を出しています・・・・オールドレンズならではの一枚。


Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/125sec iso200 -0.31EV
本日一押し!すべてが理想に近い綺麗で優しい淡いオレンジ系の薔薇。描写が繊細で、ボケも主役を効果的に引き立て、カラーが優しい・・・90年の歳月に感謝です!


Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/80sec iso200 -0.31EV
此方は色かぶりが見られ、カラーバランス的には良くないのですが、ソフトレンズの描写に似た優しく明るい薔薇に仕上がりました。
 
Sony NEX-3 ƒ/4.9 1/100sec iso200 -0.31EV
最後は強いスポットを受けた薔薇、ここまでの光を受けると固くゴワゴワした花びらに写る事が多いのですが、この光を受けても尚、柔らかく繊細です。

90年前にタイムスリップ出来ましたか?
次回はガラリと変わり、光をもっと光を・・・です。

  • 今回の撮影機材(詳しくは次回)
SONY NEX-3 ミラーレス一眼 +NEX EXTENTINO TUBE(7mm+14mm) + PIXCO ヘリコイドマウントアダプター + Foth 120mm F4.9

迫力有りますよね。機能優先美と洒落っ気、その当時のカメラの位置づけが判ります。高価だったんです、本当に。


各パーツです。複雑に見えますね。