Old Lens 0026 > CANON FD 50mm F1.8 S.C. (II) [17793]「ボケとツッコミ」・・・・「ボケ編」



「ツッコミ編」では、絞りF8固定で十分な解像度・カラーバランスや立体感が確認でき「もってけ泥棒」状態で捨て値のCANON FL/FDレンズは「お買い得品」の結論を出ましたが、実を言いますとCANON標準レンズ系は、オールドレンズのメインストリームだと思っています。

オールドレンズで連想されメインストリームは間違い無く、ライツで有りツアイスで有り、この2大ブランドの名が初めに語られ、その次にその他海外稀少レンズが次に続き、国産単焦点大口径レンズがそれに続きに、コピーレンズとクセ玉の多いロシアレンズ、例外的にシネマ用Ⅽ・Dマウントレンズの稀少玉辺りが妥当かと思います。

CANON標準レンズ系はこれらに劣らない程、興味深々なレンズなんです・・個人的にはですけどね!「Biotar」「Helios44」などグルグルボケで有名なレンズ達の話題に、しばしば登場する「和製Biotar」「Helios44みたい」などオールドレンズのCANON標準レンズ系はボケ写真には欠かせないアイテムで、前者に負けないボケが魅力?なんです。

天下のCANONレンズが、開放でのレンズ性能こんなので良いのですか?レベルの収差が出ていると思います。生真面目な日本人、設計当時はなおさら!良く製品化が許されたと言うレベルだと思います。おかげでオールドレンズファンにはたまらない一品には成りましたが、正直このボケはどうなんでしょう。CANONにはまだまだ上を行く錯乱を連想させるレンズが有ります。(既に撮影済みです。何時か登場します・・・お楽しみに)

本当はそれ程無茶苦茶では無くて、キャッチコピー効果狙いなんですが、兎に角「ボケ編」がこのレンズの真の姿だと思っています。

大好きなボケなんです、小さな前半~大きな後半へそして最後は・・・ではどうぞ。

薄曇り午前の光、絞った時の光源ボケの見本です。5角形でハッセルの様ですね!前回と同様絞った時の描写はしっかりとしています。

 日陰の誕生まじかな紫陽花、僅かに面間反射の様なボケが出ていますが、比較的なだらかに、素直なボケで初々しく可愛いです。

 もう少し成長した姿を正確にきれいにとらえています。ボケは素直で深く沈み込んでいきます。明暗の描き分けも適切です。

 先ほどより光の条件が改善され明暗のコントラストが明確になり、紫陽花のボケ方も僅かに浅く、光源ボケもより大きく、そろそろこのレンズの本来の姿が表れ始めてきました。バブルボケの中央部付近が混濁しはじめ、周辺部の特に上部の2角が流れはじめグルグルボケのDNA ? が見え隠れします。

 先ほどの紫陽花の成長半ばと似た感じですが、光の条件が改善され、思いの外シルキーなボケ方で、光漏れや反射が無く光源ボケが出にくい条件では案外素直な描写です。

 バブルボケがより目立ち周辺部の流れも怪しくなってきました。

 ついにバブルボケが暴れだしたのか、周辺部は元より中央部の乱れが目立ち始め、アジサイとの境界線を越えて混濁への一歩が始まったかの様ですが、こう言う写真好きなんです。

 少し気分転換に、色も濃くコントラストも有り、何だか深く沈み深遠な世界に引き込まれそうです。

 大きなバブルボケ・・・紫陽花の葉は奥にボケて行き混濁では無くファンタジックな世界に入っていくようです・・・

 ここまでバブルボケが出ると綺麗で美しい時を感じてきます。

 もはや、バブルボケは消えかけ、後ろの木々は形を失い異次元の世界に行きかけている様です。

 バブルボケも消え消滅の世界に・・・いったい幾つのバブルが重なりあったのでしょうか?想像を超える数です・・・

 ついにバブルは消え、超新星爆発でも起きたのか?宇宙それとも星?の始まりから終わりを見たような気がしています。兎に角凄いボケ方です!

 そして、大量に巻き散らかされたガスや塵に拠り、新たに無数の星の誕生です。ちいさな星が綺麗、ファンタジーです。

  • 今回のCANONレンズ如何でしたか?私はとても気に入っています
ただ綺麗に写るだけなら現代レンズに到底かないません。昔のレンズでもすごい解像度のレンズが有り、今でもで伝説の解像度を語り継がれるレンズは有ります。でも正直中心部に特化した解像度だったり、カラーバランスに難があったり、色収差で偽色が発生したり湾曲収差で大きく歪んだり、球面収差でボケて滲んだり等々、今となってはコンピュータ技術の進歩により、カラーコーティング技術も含め、従来設計の比では無くなりました。

こんなレンズに出会える喜びが最高です。
陶工の方の窯まかせの心境です、窯を開ける瞬間の期待と不安、でもやはり期待が勝ち予想外の結果に一喜一憂するのだと思います。

最後に作例とレンズに付いて、今回は何だか物語風な紹介になってしまいましたが、作例の順番はチョイスし並び変えた訳では有りません。

只、時系列で順番に並んでいるだけです。この時系列の中で変化しているのは光です。朝の曇り空から薄曇りに、そして光の量が徐々に増していったと言う事です。

耐光性の優れた現代レンズでは決して味わう事が出来ない現象であり、これがオールドレンズの醍醐味と楽しみだと感じました・・・・皆さんも体験して見て下さい。
では、また今度・・・・。

  • 被写界深度サンプル
ƒ/1.8

ƒ/8

SONY NEX-3 ミラーレス一眼 + NEEWER CANON FD-NEX マウントアダプター +CANON FD 50mm F1.8 S.C. (II)
NEEWERマウントアダプターはマウント側・レンズ側共にガタツキ無く取り付けもスムースで良好、絞りロックリングの動作も問題無く使えましたが、後日紹介予定の「FL 50mm F1.8」などマウント後部に段差付きの一部 FLレンズは段差に干渉するため、小改良が必要になります。

今回紹介のレンズは元からマニュアル操作前提の為、ヘリコイドの状態やピント調節回転角や絞り操作及び、ピントの山も判りやすく問題有りませんでした。

SONY NEX-3に装着時のバランスは少し頭デッカチ程度でまずまずです。











  • 仕様表
焦点距離 50mm [SONY NEX3装着時75mmレンズの画角に相当]
最大口径比 1:1.8
最大撮影倍率(倍) 0.103
レンズ構成 4群6枚
画角 46°79′(35mm判フルサイズ一眼レフカメラ)32°08′(APS-C一眼レフカメラ)
撮影距離目盛 ∞~0.6m
最短撮影距離 0.6m
絞り羽根枚数 5枚
最大絞り f/1.8
最小絞り f/22
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ) 55mm
マウント FDマウント
寸法 約65mm(最大径)全長約38.5mm
質量 約200g
発売日:1976年03月--日
発売時価格 21,000円